退職金の源泉所得税
特定の役員のかたは少し計算方法が違います。
特定の役員とは?
前回の投稿で見たとおり、退職所得は給与所得に比べて税額が少なくなるように優遇されています。
このことが悪用されると、退職金を利用して節税をしようとする人も現れますね。
そのような退職金利用スキームを封じるために、役員のかたについては、退職所得の計算方法が少しシビアになっています。
具体的には、一般的なかたの退職所得では退職所得控除後に1/2をかけて計算していましたが、特定の役員のかたについては、この「1/2」計算がありません。
特定役員退職手当等にかかる退職所得の金額
=退職金の額-退職所得控除額
ここでいう特定役員退職手当等という言葉、難しいですね。
役員として勤務した期間が5年以下である人がもらう退職金がこの特定役員退職手当等にあたると考えていただければ問題ないと思います。
一般退職手当と特定役員退職手当がある場合
珍しいケースだと思いますが、役員として退職するために退職金をもらったときに、役員になる前の社員時代の分は、一般の退職手当として「1/2」が使えます、というケースがあります。
この場合は、次の①と②の合計額が退職所得になります。
① 特定役員の退職金の額-特定役員退職所得控除額(次のイ+ロ)
イ 40万円✕(特定役員等勤続年数-重複勤続年数※)
ロ 20万円✕重複勤続年数
※重複勤続年数とは、特定役員である期間と一般社員である期間が重なっている期間の年数のことになります。
② (一般退職手当等の収入金額-一般退職所得控除額※※)✕1/2
※※ 一般退職所得控除額とは、退職所得控除額から特定役員退職所得控除額を引いだ金額になります。
退職金の中でも役員のかたになると、計算が難しくなりますね。
特に社員時代と役員時代があるかたについては、計算方法が複雑ですのでご注意ください。