免税点の大幅な引き下げから、しばらくは制度の改正はなかったが、平成22年12月に税制調査会が取りまとめた「平成23年税制改正大綱」では、「例えば、1期目の課税売上高が3000万円、2期目の課税売上高が5000万円であったような場合、1期目から相当の課税売上高があるにもかかわらず、実際に課税事業者となるのは3期目からとなってしまうことや、こうした制度を悪用した租税回避等も散見されて28」いたことを背景として、課税の適正化の観点から免税事業者の要件を見直すこととされ、その後の平成23年6月に「現下の厳しい経済状況及び雇用情勢に対応して税制の整備を図るための所得税法等の一部を改正する法律案」が成立した。
事業者免税点制度については、前年又は前事業年度上半期の課税売上高(又は給与支払額)が1000万円を超える事業者は免税点制度を不適用29とすることとされた(平成25年1月1日以後に開始する事業年度から適用)。この改正により2年前(基準期間)における課税売上高で判定されていた従来の基準が、1年前(特定期間30)でされることになり、急激に業績が伸びている事業者が2年間の免税期間を得ることになる批判に対して、有効な措置として機能している。
- 28 斎須朋之他「改正税法のすべて〔平成23年度版〕」大蔵財務協会(2011年10月)644頁
- 29 法第9条の2(前年又は前事業年度等における課税売上高による納税義務の免除の特例)第1項 個人事業者のその年又は法人のその事業年度の基準期間における課税売上高が1000万円以下である場合において、当該個人事業者又は法人のうち、当該個人事業者のその年又は法人のその事業年度に係る特定期間における課税売上高が1000万円を超えるときは、当該個人事業者のその年又は法人のその事業年度における課税資産の譲渡等及び特定仕入れについては、同条第1項本文の規定は、適用しない。
- 30 個人事業者はその年の前年1月1日から6月30日までの期間、法人は、その事業年度開始の日以後6月の期間。