第2項 本事例の問題点

上記の判決から明らかなように、事業者免税点制度は、消費税等の租税回避の手段として悪用されやすい[68]という側面をもっている。今回の事例では、原告は別法人を設立し、その別法人が2度目の決算期を迎える前に、別の新たな別法人を設立し、その新たに設立された別法人の納税義務の免除を利用して、別法人の免税期間を延ばし続ける方法が取られたが、この方法を封じる規定が現在の消費税法には欠けていると思われる。

 今後も同様のスキームが用いられる可能性は、消費税率が上がっていく時勢の中で、ますます高まるものと予想される。そのスキームを未然に封じるために、消費税法の更なる制度改正が必要となるように思われる。本論文において、その改正案について、この後に論を展開していくことにする。


[68] 国税庁による消費税の査察調査状況において、平成18年度から22年度までの間に検察庁に告発した件数は102件で、このうち58件は、資本金1000万円未満の新たに設立された法人が設立2年以内の事業者免税点制度を悪用し、法人の設立や解散を繰り返すなどして消費税を免れている事例とされている。

 会計検査院「消費税の課税期間に係る基準期間がない法人の納税義務の免除について」 会計検査院法第30条の2の規定に基づく報告書(要旨) (2011年10月)5頁