修士論文 消費税の事業者免税点制度をめぐる諸問題

はじめに

2019年5月1日に改元し、時代は平成から令和に変わった。平成元年に産声を上げたわが国の消費税は、今年で31歳となった。令和2年度予算において、消費税収は21兆7190億円となり過去最高を更新する。また、所得税の19兆5290億円を抜いて、最大の税目となることが確実視されている。 

国債や借入金等のいわゆる「国の借金」が1000兆円を超えるともいわれる厳しい財政事情を抱えるわが国において、消費税は屋台骨を支える主役の座に就くことになる。 

 令和元年10月1日に国・地方公共団体等を合わせた消費税率は8%から10%にアップし、今まで以上に注目が集まる消費税制であるが、税率の上昇や複雑化する法改正によって、様々な問題点が湧出している状況に陥っているものと思われる。 

本論考では、わが国の消費税が抱える問題点の一つである事業者免税点制度に焦点をあて、法の生い立ちや改正の経緯を検証し、諸外国との制度比較を行いながら、今後の制度のありかたについて考察を行った。 

※なお、本論文においては各関係法令について、つぎのような略語を使用する。 

(法令等)            (略語) 

消費税法             法 

消費税法施行令          法令 

消費税法施行規則         法規則 

消費税法基本通達         基通 

租税特別措置法          措特法 

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