経費にできない税金もあります
前回の投稿では、経費にできる税金についてお話しさせていただきましたが、今回は経費にできない税金をお話しさせていただこうと思います。
経費にできない税金
・所得税、住民税
所得税や住民税は、所得の計算をした結果生じるもので、経費として計上することは認められていません。
もし仮に認められていたらと考えると、所得を計算したあとに課される税金を経費化するということになり、計算が循環してしまいますね。
・相続税、贈与税
相続税や贈与税は個人に課される税金ですので、経費にはなりません。
こちらも、もし仮に経費として認められていたらと考えると、面白いですね。
富裕層(例えば上場企業の創業者)などがなくなった場合、何十億、何百億という相続税が発生しますので、これが経費として認められたとしたどうでしょう?
せっかく相続税として課税したものが経費になり、翌年以降の子どもたちの所得税額に莫大な額の還付税額が生じるかもしれませんね。
やはり税金が循環してしまうため認められていない、ということになります。
ペナルティは経費になりません
・延滞税、延滞金、加算税、加算金、各種罰金など
税金のなかでも、罰則(ペナルティ)に該当するものは、経費にすることはできません。
例えば、税金を滞納してしまったときに課される延滞税や延滞金、加算税や加算金は、ペナルティとしての性質があるため、事業の経費にすることを認めていません。
これは、国(地方公共団体)としてはペナルティとして課したものなので、経費化して節税の対象とすることで、事業者の利益にすることを禁じたことによります。
同じ理由で、交通違反をしたときに発生する罰金も経費になりません。
例えば運送業者の方が、社員が犯してしまった交通違反の罰金を会社として支払ったとしても、この罰金を経費にすることはできません。
経営者の視点としては職業柄「やむを得ない事情」と判断して、会社として面倒をみようという判断をされるかもしれませんが、税法上の経費としては認められていませんので、ご注意ください。
これらの経費化できない税金や罰金は、個人事業の経理上の勘定科目としては「事業主貸」で処理することになります。
以上、2回の投稿で、経費計上できる税金と経費計上できない税金について見てきました。
税金の取扱について判断に迷うケースでは、税理士または税務署に相談することをおすすめいたします。