年末調整をしたあとの源泉所得税の
納めかたについて、ご説明いたします。
源泉所得税の納付の際に、ご質問が多いのが年末調整をしたケースです。
今回は、この年末調整時の納付書の記入方法についてご説明いたします。
税務署から還付金をもらいません
まずご理解をいただきたいところが、
年末調整時の還付金は税務署から振り込まれるのではない
ということです。
一般的なイメージでは、源泉所得税をいつもどおり天引きをして、そのまま税務署に納付をしたあとに税務署から還付金が戻ってくる、という感じですね。
ですが、いったん納めてもらってまた還付するというのは2度手間ですよね。
納税者も税務署もお互いに面倒だと思います。
そこで、年末調整については、還付金の額は税務署に納付せずに、そのまま納税者(この場合は、年末調整をして還付金が出たかた)に返して良い、ということになっています。
実際の納付書の記入例
実際の記入例を見ていきましょう。
例えば、所得税額が合計で30,000円で、年末調整をしたところ20,000円の還付金が出たケースです。
この場合は、30,000円を納付するのではなく、30,000円から20,000円を引いた10,000円を税務署の納めます。
残りの2万円は、還付になったかたに直接お渡しします。
納付書には、20,000円の還付金は「年末調整による超過税額」の欄に記入します。
では、年末調整の還付金が納付額を上回るケースを見てみましょう。
納税額が30,000円で、還付金の合計が40,000円のケースです。
このケースでは、納税額から還付金の額をひくとマイナスになってしまいます。
この引ききれない金額については還付を受けるのではなく、次回の源泉税の納付の際に引く、という処理をするのが一般的です。
今回のケースでは、30,000円-40,000円で10,000円の引ききれない金額が発生します。
納付書には、本税・合計欄ともに0円と書き、引ききれなかった金額を納付書左下の摘要欄に「残存過納額 10,000円」と記載します。
ちなみに、この納付する金額が0円の納付書は金融機関では受け付けてもらえません。
税務署に納付書を電子申告をするか、税務署に納付書を持ち込んで収受印をもらうか、納付書を税務署に郵送するか、という方法により提出します。
0円だからといって、なにもしないでいるとお尋ねの電話がかかってきますので、ご注意ください。
税額に不足があった場合
珍しいケースですが、年末調整をしたところ追加の税額が出た、という場合についても見てみましょう。
例として源泉所得税の合計が30,000円で、追加の税額が10,000円の場合を取り上げてみます。
この場合は「年末調整による不足税額」の欄に10,000円を記入して、本税と合計額には40,000円と記載します。
不足がでるということは、年末調整をしたかたから追加で税金をもらわないといけないので、注意が必要です。
特に税金の仕組みがよくわかっていない若いアルバイトスタッフのかたは「何で追加で払わないといけないの?」という不満につながる可能性がありますので、よく噛み砕いて説明をするように心がけましょう。