本稿では、事業者免税点制度に主眼を置いて探求を行った。
益税の試算では巨額の税収を喪失している現実について分析し、判例においては具体的な租税回避スキームについて検討を加え、これらの問題を解決するべく行った度重なる法改正により制度が複雑化している現状を明らかにしてきた。
また、諸外国との比較においてわが国の制度が免税点や基準期間の点で、小規模事業者を過度に優遇していると思われる実態が浮き彫りとなった。
更には、今後導入されるインボイス制度について電子インボイス及び記入済み申告書等の技術的な面での発展も含めて紹介し、諸外国の例を参考に考察を行った。
そして、シェアリングエコノミーにおける新たなる小規模事業者像についても確認し、課税の公平性を損なう事業者免税点制度について、基準期間の廃止と免税点の引き下げという2つの望ましいと思われる方向性を示してみた。
インボイス制度の導入という有史以来の大改革が待ち受ける今後において、事業者免税点制度についても新たなる姿へと変貌を遂げることを期待したい。